我が人生、魂のサウンド・トラック 其の壱 〜LED ZEPPELIN『LED ZEPPELIN Ⅱ』総評編


LED ZEPPELIN Ⅱ 2 レッド ツェッペリン セカンド 2nd SHM-CD

レッド・ツェッペリン『レッド・ツェッペリン Ⅱ』(1969)

1. 胸いっぱいの愛を
2. 強き二人の愛
3. レモン・ソング
4. サンキュー
5. ハートブレイカー
6. リヴィング・ラヴィング・メイド
7. ランブル・オン
8. モビー・ディック
9. ブリング・イット・オン・ホーム

プロデュース : ジミー・ペイジ

メンバー :
ジョン・ボーナム (ドラムス、ティパニ、バッキング・ボーカル)
ジョン・ポール・ジョーンズ (ベース、オルガン、バッキング・ボーカル)
ジミー・ペイジ (ギター、テルミン、バッキング・ボーカル)
ロバート・プラント (リード・ボーカル、ハーモニカ)

デビュー作である前作が好調だった事で、すぐに契約しているアトランティック・レコードから今作の打診をされたため、リズムトラックの多くはすでにレコーディングが完了していたものの、オーバーダビングやミキシング作業の多くはUSツアーの合間を縫って様々なスタジオで仕上げられた作品。
超過密スケジュールでさらにロンドン、ニューヨーク、バンクーバーなど様々な場所でレコーディングされたため、音質のバラつきや曲によってはアレンジも甘い等、ジミー自身は仕上がりに不満があったそうです。
しかし、ツアー中ならではの体のあったまり感と言いますか、その勢いやテンションはその部分を補って余りある仕上がりになっていると思います。

ただモンスター級のセールスを記録し、ライヴでの観客動員数もぐんぐん増やしていたにも関わらず、アメリカの音楽誌『ローリング・ストーン誌』からはツェッペリンのデビュー以来一貫して積極的な酷評を続けられていました。

チーフ・エンジニアにはジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)との仕事で名を上げたエディ・クレイマー(Eddie Kramer)が起用され、その影響として例えば『胸いっぱいの愛を』の中間部分のサウンド・エフェクトのパートが挙げられます。
エディが関わる前からテルミン(Theremin)のパートやスライド・ギターのバックワード・エコーのパートなど大半は仕上がっていたが、最終的なエフェクト処理にはエディの力が最大限に発揮されたと後にジミーが語っています。

その『胸いっぱいの愛を』は1962年に発表されたマディ・ウォーターズ(Muddy Waters)の『ユー・ニード・ラヴ(You Need Love)』に酷似している事でソングライターのウィリー・ディクソン(Willie Dixon)に訴えられたがすぐに示談が成立。(当初はメンバー4人の共作となっていたが、その後ウィリーもクレジットされるという形で落ち着いた。)

『胸いっぱいの愛を』に限らず…

『レモン・ソング』はハウリン・ウルフ(Howlin’ Wolf)の『キリング・フロア(Killing Floor)』
『ブリング・イット・オン・ホーム』はサニー・ボーイ・ウィリアムソン Ⅱ(Sonny Boy Williamson Ⅱ)の同名曲

これらの曲も同じ様な事が起きています…

ただ、カヴァーとして正式にオリジナルのクレジットを入れてある曲にしても拝借してしまった曲にしても、それらの楽曲にはZEPならではのアレンジが施されていてオリジナルが何なのかはあまりわからないものが多い気がしますが、当時を振り返って少しやり過ぎたとジミー自身も認めています。笑

『ハートブレイカー』ではリフやボーカル・パートと、あの無伴奏のギター・ソロとその後のイン・テンポのギター・ソロはそれぞれ別のスタジオでレコーディングされています。
当初はあの無伴奏ギター・ソロは無くて、最後の最後で挿入されたそうで、そのソロ・パートのレコーディング辺りからマーシャル(Marshall)のアンプを導入したようです。
マーシャルのアンプを入手したキッカケは、当時はマーシャルこそが最先端技術が結集されたアンプで、特にツアー用としてトラブルが少なくて最適だったからだとジミーが話しています。

『モビー・ディック』はボンゾ(ジョン・ボーナムの愛称)のドラム・ソロを大々的にフューチャーしたインストゥルメンタル・ナンバーで、ステージでは10分以上の豪快なドラム・ソロが展開されます。

John Bonham BONZO ジョン ボーナム ボンゾ Drums ドラム

しかしドラム・ソロ用の曲をアルバムの中に入れてしまうのがスゴいです。まぁ、ボンゾのドラムなら何の問題もないですけどね。

『ランブル・オン』は次作への伏線的のようなフォーキーな雰囲気で興味深いですが、ZEP時代のステージでは披露されたことがなかったはずです。

ここからは先ほど少し触れましたジミー・ペイジの機材面の事をご紹介します。

まずはギターから。

メインのギターは前作のデビュー作ではフェンダー(Fender)のテレキャスター(Telecaster)から、その後トレードマークとなる”No.1″と呼ばれ現在までメインギターとして使用される、1958年製のギブソンのレス・ポール・スタンダード(Gibson Les Paul Standard)になります。

Jimmy PAGE Les Paul Standard 1958 No.1 ジミー ペイジ レス ポール スタンダード ナンバー1
かなり低い位置で構えるレス・ポール
抜群にカッコ良い!

これはフィルモアでのライヴの時に、後にイーグルス(Eagles)で大活躍するジェイムス・ギャング(James Gang)時代のジョー・ウォルシュ(Joe Walsh)が楽屋を訪れ、「これ、買わない?」と営業(?)に持って来た物を気に入り、500ドルで買ったそうです。
このレス・ポールはかなり極太だったネックを細めにリシェイプして使用されています。

アンプはヴォックス(VOX)のソリッドステイト・タイプから、『ハートブレイカー』と『ブリング・イット・オン・ホーム』は前述の100Wのマーシャル。

エフェクターはクライ・ベイビーくらいのようで、『胸いっぱいの愛を』のギター・ソロはクライ・ベイビーを上下させず、定位置で固定してイコライザー的な使い方、後に言われる”マイケル・シェンカー的”な使い方をしているようです。
そのマイケル・シェンカー(Michael Schenker)もジミー・ペイジと同じくハーコ(HERCO、ヘルコ?)のナイロンピックを使っていたり、代名詞フライングVの前はレス・ポールだったりと少なからず影響を受けているのは間違いないかと思われます。

そしてその『胸いっぱいの愛を』のヘヴィなディストーション・サウンドが印象的なリズム・トラックはディストーション・ペダルを使ったサウンドのようですが、実際はアンプのボリュームを極端に大きくしたサウンドだと後にジミーが語っています。

ただ、ジミー・ペイジという人、かつてはレコーディングの事や機材の事をほとんど語らず謎のベールに包まれた感がありました。
その後、当時から何十年も経ってから少しずつ語ってくれているのですが、その時々で話す内容が若干変わるのは昔の事なのでしょうがないと思われている節が… 少なからずあります。

そして何と言ってもマエストロ(Maestro)製のテルミンです。

Jimmy Page Les Paul Standard 1958 ジミー ペイジ レス ポール スタンダード Theremin テルミン Marshall マーシャル Orange オレンジ Amp アンプ Maestro ECHOPLEX マエストロ エコープレックス

テルミンは、ロシアの科学者レフ・テルミンが発明した、アンテナに手を近づけたり離したりする事で音程を得るという最も初期の電子楽器です。
昔、イシバシ楽器のオリジナルで、本体がコンパクト・エフェクターくらいのサイズに伸び縮み式のアンテナが付いた物が出たりしてました。

ステージでテルミン使用時のジミーのステージ・アクションはお馴染みの一つです。

《総評》

オススメ度 : ★★★★★★

今さら何を語る事があるのか?というほどの傑作中の傑作です!

CDの帯にある、
「ロック史に永遠の伝説を作った王者の名作中の名作!!」

おっしゃる通りです。

ハードロック、ヘヴィメタル好きは避けては通れない作品です。

まだ聴いた事が無いという方は、僕が受けたような衝撃を是非、受けて下さい!

↓僕が受けた衝撃はコチラ↓

このアルバムを元に通常CDとSHM-CDを聴き比べてみた内容のブログもございますのでそちらもご覧頂ければ幸いです。

LED ZEPPELIN『LED ZEPPELIN Ⅱ』(1969)

WHOLE LOTTA LOVE
WHAT IS AND WHAT SHOULD NEVER BE
THE LEMON SONG
THANK YOU
HEARTBREAKER
LIVING LOVING MAID (She’s Just A Woman)
RAMBLE ON
MOBY DICK
BRING IT ON HOME

PRODUCED BY JIMMY PAGE

Jimmy Page – Electric guitar, acoustic guitar, pedal steel guitar, theremin, backing vocal

Robert Plant – Lead vocal, harmonica

John Bonham – Drums, tympani, backing vocal

John Paul Jones – Bass, organ, backing vocal

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